夏のミュージアム

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「トオルちゃん、このお魚を追いかけるよ。おいで!」 「アン!」 隣のホールに広がる大海原の映像で、安藤はお絵描きした魚を画面に投入してトオルと一緒に追いかける。 「トオルちゃん、ほらここ。ジャンプ!」 安藤が声をかけると、トオルは安藤の手元目がけて飛び上がった。 「タッチ!すごーい、トオルちゃん。上手!」 「アンアン!」 二人は楽しそうにホール中を駆け回る。 しばらくしてようやく座り込み、じっと海の映像を眺め始めた。 「都筑さん、今夜は本当にありがとうございました」 「どういたしまして。楽しんでもらえたかな?」 「はい!それはもう。トオルちゃんと一緒に楽しめて、とっても嬉しかったです」 膝に抱いたトオルをなでると、トオルも安藤の手に頭をすり寄せる。 「こちらこそ。トオルと遊んでくれてありがとう。トオルは本当に君のことが大好きみたいだ」 「ふふっ、私も。トオルちゃんが大好きです。あーあ、トオルちゃんが私の彼氏だったらな。毎日デート出来るのに」 優しくトオルに微笑む安藤に、吾郎は思わず言ってしまう。 「じゃあ、トオルの彼女になってくれる?」 「え、いいんですか?なります!」 するとトオルも「アン!」と答える。 「あはは!トオル、お前、分かって返事してるのか?」 「アン!」 「そうか、それなら二人は両想いだな」 「やったー!嬉しい。ね?トオルちゃん」 「アン!」 吾郎は苦笑いを浮かべて頬をポリポリと掻く。 「じゃあ、時々週末に遊んでやってくれる?」 「もちろんです!よろしくお願いします」 「アン!」 安藤とトオルはキラキラと目を輝かせる。 (こりゃ、完全に俺はお邪魔虫だな) やれやれと吾郎は小さく肩をすくめた。
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