恋…ってなんだ?

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「恋…って、なんだ?」 オフィスでポツリと呟いた吾郎に、大河と洋平はガタッと椅子を揺らして仰け反る。 「こ、こ、こい?吾郎、それって、池の中を泳いでる魚のことじゃないよな?」 「違う。恋愛の話だ」 「ヒーッ!恋愛?吾郎が、恋愛?!」 思わず大河は洋平と身を寄せ合う。 「どうしたんだ?吾郎」 「何があった?変な物でも食べたとか?」 「ちがわーい!」 そんなやり取りを見守っていた透が、おもむろに口を開く。 「吾郎。恋ってなんだ?って考えることが、既に恋に落ちてるって証拠だよ」 大河と洋平は、またしてもヒョエー!とおののく。 「透。お前、真顔でそんな名言を…?」 「ゲームのやり過ぎで、恋愛マスターにもなっちゃったのか?」 透は、まあね、と妙に気取ったポーズを取る。 「恋に落ちるってさ、言葉じゃ説明出来ないんだよ。知らず知らずのうちに、頭の中に相手の顔が思い浮かぶ。気がつけば、その子のことばかり考えちゃう。むしろそれこそが純粋で本物の恋なんだ」 はあ…と、3人は気の抜けた返事をする。 「大河や洋平だってそうだったんじゃない?気づいた時には、彼女のいない生活は考えられなくなってた。ただ会いたいって、毎日そればかり考えちゃってた。そうじゃない?」 真剣に問いかけられ、大河と洋平は「いや、あの…」としどろもどろになる。 「洋平はともかく、奥手な大河がよくアリシアと結婚出来たもんだよ。良かったねー、大河」 すると大河は、しみじみと頷く。 「ああ、良かった。本当に良かった」 「でしょ?」 最後に透は、ポンと吾郎の肩を叩いた。 「だからさ、吾郎も絶対に手を離しちゃダメだよ」 「…誰の?」 「今、吾郎が思い浮かべた人!」 その時、吾郎の頭の中には、笑顔の安藤とトオルが思い浮かんでいた。
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