サプライズ

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「もう、本当に大丈夫だったら」 「いーや。ずっとステージに立ってたし、さっきも俺の所まで走り寄って来ただろ?悪化したらどうする」 ようやくいつもの調子に戻ると、またしても大河は瞳子を抱き上げて、車に乗せた。 運転席に回ってエンジンをかけると、大河は瞳子の服装を見て残念そうにする。 瞳子は控え室で、ジーンズとニットに着替え直していた。 「せっかく綺麗なドレスだったのに。なんで着替えたんだ?」 「ええ?!最初は大河さん、誰にも見せたくないって言ってなかった?」 「俺以外の男にはね。でも俺には見せて欲しい」 「そ、そんな…」 真剣な表情で言われ、瞳子は顔を赤くする。 「せっかくのクリスマスイブだし、雰囲気のいいレストランでディナーを楽しみたかったのに」 「でも、今夜はどこも混んでますよ?」 「そうか、そうだな。それに瞳子の足も心配だ。今夜はうちでゆっくりしようか」 「はい!そうしたいです」 にっこり笑う瞳子に、大河は思わずふっと笑みをもらす。 「可愛いな、瞳子。うちなら人目を気にせず、ずっとイチャイチャ出来る。覚悟しとけよ?」 うっ…と、瞳子が身をすくめた時、スマートフォンにメッセージが届いた。 「あっ、吾郎さんだ。無事に届いたのかなー?」 ふふっと微笑みながら、瞳子はメッセージを読む。 『瞳子ちゃーん!チキンにワインにケーキ、ありがとー!うっうっ、クリぼっちの心に、瞳子ちゃんの優しさが染み渡ったよー。メリークリスマース!ありがとうございマース!』 あはは!と声を上げて笑うと、大河は怪訝そうに眉を寄せた。 「吾郎がどうかした?」 「ふふっ、ちょっとね」 「なにー?!俺には言えない、吾郎と内緒の話?」 「もう、大河さんったら。違うってば。ほら、早く帰っておうちでクリスマスパーティーしよう?」 「ああ、うん。そうだな。早くイチャイチャしよう」 「ええ?クリスマスパーティーでしょ?」 「うん、そう。イチャイチャパーティー」 大河さん!と横目で睨む瞳子に、あはは!と笑って、ようやく大河は車を発進させた。
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