楽しい時間

2/4
前へ
/141ページ
次へ
「うわー、うまそうだな。ハンバーグステーキと、このおつまみ3点セットも頼んでいい?」 「はい、もちろん!ドリンクバーも、ですよね?」 「そこはもう当然でしょう」 「ふふっ、はい」 タブレットを操作しながら、安藤はテキパキと吾郎のオーダーを入力していく。 「私は、んー、まずはサラダだけにしよう」 ひとり言を呟きながら入力する安藤に、吾郎は、ん?と首をひねる。 「サラダだけしか食べないの?」 「違うんです。ここのファミレス、ワンちゃんがお料理を運んでくれるので、何度かに分けてオーダーしたいんです」 ……は?と、吾郎は目が点になる。 安藤は、そんな吾郎にクスッと笑った。 「まあ、あとで分かりますから。ほら、先にドリンクバーに行きましょ」 「ああ、うん」 ドリンクを淹れて戻り、しばらくすると、 「あ、来た!都筑さん、来ましたよ」 と安藤が吾郎の後方に目をやる。 ん?と振り向いた吾郎は、うわ!と声を上げた。 「な、なんだ?あの可愛いロボットは」 「でしょ?あのワンちゃんがお料理を運んでくれるんです」 「え、ここに?俺のハンバーグを届けてくれるの?」 「そうですよ」 ピロリロリーン!と可愛い音楽と共に、ロボットは吾郎のすぐ隣までやって来た。 「お待たせしました!お料理をお持ちしたワン」 「あ、は、はい。ありがとう」 思わず頭を下げてロボットに返事をする吾郎に、安藤が笑いかける。 「都筑さん、ワンちゃんからお皿を取ってください」 「あ、う、うん」 吾郎はそっと両手でハンバーグの皿を持ち上げる。 「ご注文、ありがとワン!お料理楽しんでくださーい」 「は、はい!ありがとうございまーす」 真面目に答える吾郎に、安藤は面白そうに笑う。 「都筑さん、ワンちゃんにタジタジになってません?」 「うん、なってる。だってすごいんだもん、あのワンちゃん」 「あはは!都筑さんの口からワンちゃんって言葉聞くと、どうしても笑っちゃいます」 「ああ、前も言ってたね」 「え?私、そんなこと言いました?」 「言ってたよ。ほら原口さんと行った…」 (ああ、そうか。酔っ払って覚えてないんだっけ) そう思っていると、今度は安藤のサラダを載せてまたロボットがやって来た。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1647人が本棚に入れています
本棚に追加