夢のような1日

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夢のような1日

次の日。 大河は、ドレスやヘアメイクまでトータルでコーディネートしてくれるブティックに、瞳子を連れて行った。 オペラ座に行く、とスタッフに伝え、いくつかドレスを見繕ってもらう。 その中から大河は、ワインレッドのタイトなロングドレスを瞳子に薦めた。 「えー?こんなに大人っぽいデザイン、似合うかな?」 そう言って渋る瞳子を、とにかく試着してみて、と大河は促す。 しばらくすると、嬉しそうな笑顔のスタッフが大河を呼びに来た。 「Ta princesse attend!(あなたのプリンセスがお待ちかねよ)」 案内された部屋に行くと、壁の大きな鏡の前にいる瞳子の後ろ姿があった。 「瞳子?」 そっと呼びかけると、瞳子は大河を振り返り、照れたようにはにかんだ笑みを浮かべる。 その美しさに大河は息を呑んだ。 壁に掛けられていた時はストンとしたドレスに見えたが、瞳子が身にまとうと身体のラインに沿ってとてもセクシーで、大人の女性の魅力に溢れている。 大河が言葉を忘れて見とれていると、瞳子がためらいがちに口を開いた。 「あの、大河さん。大丈夫でしょうか?これで」 「…え?ああ!もちろん。すごく綺麗だよ、瞳子」 「うーん…。日本だと絶対に無理ですけど、ここはパリだし。まあ、いいかな?」 「ああ、そうだな。俺も日本ならこんなに大人っぽい瞳子は誰にも見せたくないけど、パリだしな。じゃあ、俺も瞳子のドレスに合わせたスーツを選んでもらうよ」 「はい。わあ、楽しみ!大河さん、かっこいいだろうなあ」 色っぽいドレス姿の瞳子に笑顔を向けられ、思わず抱きしめてキスしたくなる衝動を抑えつつ、大河はスタッフと一緒にメンズフロアに移動した。 光沢のあるダークスーツに、瞳子のドレスの色と同じワインレッドのネクタイとチーフを合わせる。 大河が着替えている間に、瞳子はヘアメイクを整えてもらっていた。 「ひゃー!大河さん、とっても素敵」 戻って来た大河に、瞳子は思わず口元に両手をやって見惚れる。 だが反対に、大河は瞳子に見惚れていた。 髪をアップにまとめて前髪をサイドに流し、華やかにメイクした瞳子は、気軽に近寄れないほど美しく気品のあるオーラに溢れている。 スタッフに促されて瞳子の隣に並ぶと、大河は更に緊張した。 「大河さん?あら?また、むむっ!てなってる」 瞳子の言葉に、「なにをー?」と大河は調子を取り戻す。 「ふふっ。でも、むむっ!てなっててもかっこいいです」 「だから、むむっ!は、もういいってば」 「あはは!」 ようやくいつもの二人に戻り、仲良く腕を組んでスタッフにお礼を言う。 素敵な夜を!と見送られて、ブティックをあとにした。
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