モン・サン・ミッシェル

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誰もいない静かな西のテラスから夜景を眺めている時だった。 「瞳子」 「はい」 ふいに呼ばれて、瞳子は大河を見上げる。 「瞳子と一緒にここに来られて、本当に良かった。改めて、俺と結婚してくれてありがとう」 「大河さん…」 思いも寄らない言葉に、瞳子は胸が詰まる。 「これは、瞳子への誕生日プレゼント」 「えっ?!」 大河が差し出した小さなケースに、瞳子は目を見開く。 「そんな、だって…。プレゼントはこのフランス旅行でしょう?」 「そうだな。誕生日プレゼントに何が欲しい?って、何度聞いてもいらないって言うから、そういうことにしておいた。けど、俺が瞳子にこれを贈りたいんだ。受け取ってくれる?」 そう言って大河は、ジュエリーケースをそっと開いた。 中には、煌めくひと粒ダイヤのネックレス。 まるで目の前に広がる星空から、星が一つ落ちてきたようだと瞳子は思った。 「こんな素敵なネックレスを?大河さん、私、受け取ってもいいの?」 「当たり前だろ?瞳子の為に選んだんだから。瞳子の美しさには、オーセンティックなジュエリーが本当によく似合う。毎年瞳子の誕生日には、俺が贈りたいものをプレゼントしたい。それとも欲しいものをリクエストしてくれる?」 「いえ。私、欲しいものなんてなくて…」 「それなら、瞳子にプレゼントを選ぶ楽しみを俺にくれる?」 「えっと、はい」 「良かった」 大河は優しく微笑むと、ケースからネックレスを取り、そっと瞳子の首に腕を回して着けた。 「よく似合ってる。瞳子は俺の一等星だな」 瞳子は胸に輝くダイヤモンドに手を触れて、目を潤ませる。 「大河さん、ありがとうございます。こんなにも私を大切にしてくれて。私、本当に幸せで、胸がいっぱいで…」 「俺の方こそ、瞳子に幸せにしてもらっている。ありがとう、瞳子」 そう言って大河は、両腕で瞳子を胸に抱きしめた。 「誕生日おめでとう、瞳子」 「ありがとうございます、大河さん」 大河は少し身体を離して瞳子を見つめると、たくさんの愛を込めてそっとキスをする。 満天の星達が、そんな二人をいつまでもキラキラと彩っていた。
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