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 大きく頷く須藤に、宇野が重ねて提言する。 「じゃあ、やっぱりこっちの朝日も参加させる方向で、それで決まりでいいですね? これから婚活イベントのアテンドも担当する機会もあるだろうし、何事も経験させて勉強してもらわんと」 「いや、それはちょっと待ってくれ。こいつには、営業の方でだな……」 「営業もいいですが、まずは人間観察の眼も養ってもらわないと。これから先も受け持つわけですから」 「しかし、朝日は男が好きだとはまだ一言も口にしてないぞ」 「なんだ、そんな事ですか」  そこで一度言葉を切ると、宇野は朝日に向き直り、先程須藤が言った事を繰り返した。 「お前、男もOKってことでいいよな?」 「そ――そ、それは……」  言い淀んでいたら、それを“OK”と解釈したらしく(実際そうなのだから否定はできなかった)宇野はガハハと笑った。 「はい、決まり! 社長の気遣いは無駄っすね。これでトクアンは無事開催に漕ぎつけそうだ。こいつらには、もっと頑張ってもらわんと」  どうやら宇野は、朝日や恭介に新戦力として成長するよう期待をしているらしい。  宇野は、顔は怖いが、発言力も指導力もある、結び相談所としては頼りになるリーダー格の男だった。  社長である須藤の右腕と言っていいだろう。  その宇野に促され、須藤は渋々といった様子で頷いた。 「……いいだろう。朝日は恭介と一緒に、婚活イベントに出てもらおう。ただし、分かってるな?」 「分かってますって。客相手に、マジにはならんですよ――な?」  何が『な?』なのか分からぬが、朝日は咄嗟に頷いた。  隣に座る恭介も同じように頷き、チラリとこちらに目線を飛ばす。 (え? なんか、睨んでないか?)  その目線が何故か鋭いような気がして、朝日は訳が分からず首を傾げたのだった。
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