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「せ、誠実さは大切ですよね」  同意を返すと、少し安心したのかポツリともう一言付け加えてきた。 「はい。あと、自分は武骨なタイプなんで、逆に華奢で綺麗な人が好きっす」  依然として緊張した面持ちではあるが、ようやく話しかけてくれる人物が現れたことでだいぶリラックスしたらしい。 “きよし”は、朝日に向かって素直に心情を吐露した。 「タチで、優しくて綺麗で小柄な人が自分はタイプなんですが……なかなか理想のタイプとは出会えなくて……」 (ガチムチなネコが好きな、華奢で美人のタチっ!? それは確かに難しいリクエストだな~)  この難問に、朝日は、顔が引き攣るのを辛うじて堪えるのに必死だ。  先程、比較的簡単そうなミッションを逃してしまった事を悔いながら、朝日はどうにか言葉を捻りだす。 「優しくて綺麗な人って魅力的ですよね! それなら、向こうの⑪番さんのグループが盛り上がっているようだし、一緒に行ってみませんか?」 「え? でも、自分はネコですから。⑪番さんの邪魔をしたら悪いっす」  確かに、盛り上がっている様子の⑪番はネコだし、そこに群がっている五人の連中は全員がタチのようだ。  そんな所にのこのこ顔を出したら『お前なんかお呼びじゃないよ』と、冷たい視線を浴びそうだ。 (今日の参加者はタチ役が多いから、ネコ役は溢れない筈なんだけど……ああも一か所で独占されると、そうも言ってられないぞ)  それに、意図していないとしても、一人で大勢を独占しているような状況に、若干会場の雰囲気が悪くなっている気がする。 (これは、マズいな……)  恭介を目で捜すが、バルコニーの方へ行ってしまったらしく会場内には見当たらない。  インカムからは、朝日の焦りを煽るような宇野の指示が飛んできた。 『おい、雰囲気がよくないぞ。とりあえず⑧番よりも先に、⑪番に群がっている連中を散らせるんだ』  宇野の言う事は理解できるが、だがどうすればいいのだろうか?  動揺していたら、須藤が宇野とは別の事を指示してきた。
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