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「確かに一理ありますが……でも、若くてツラがよくてネコっぽい野郎は俺等の中には他にいませんぜ。社長もよくご存じでしょう?」
「それはそうだが――」
「第一、トクアンですよ。こっちも割増しで参加料を徴収出来るんですから、ここは開催しておかないと」
なるほど、トクアンとは特殊案件の訳らしい。
そう納得していたら、須藤がジッと見つめていることに気付き、朝日はぎくりと身を縮めた。
(な、何か気に障る事でも言ったかな?)
「朝日」
「はいっ!?」
「それと、恭介」
「は、はい」
「二人とも、男は好きだろうな?」
「「!?っ」」
突然の詰問に、朝日と恭介はビックリ仰天する。
恭介はどうか知らぬが、朝日は、それまでずっと秘めていた性癖をズバリ言い当てられたような気がして、思わず肝を冷やす。
「そ、そそそ、そんな事は~」
引き攣り笑いをしながら口を開く朝日だが、恭介の方は「それが何か問題でも?」と、あっさり自供した。
(恭介~! お前、そうだったのかぁ!?)
それまで知らなかった同期の性癖に、ただただ驚愕する朝日であるが。
恭介の方は悪びれる様子もなく、逆に挑戦的に言い返していた。
「突然そんな個人情報を訊かれるとは思いもしませんでした。これはパワハラになりませんか? いくら社長とはいえ、問題ですよ」
すると、宇野が破顔一笑して「お前イイな!」とだみ声を上げた。
「ビクビクするだけのつまんない野郎かと思っていたが、意外に気が強いんだな! いいね、いいね! 生意気な子ネコちゃんって感じでばっちりだ! ね、社長?」
「そうだな。面子は一人決まったな」
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