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「ドキドキって……あははっ」
限りなくガキのような事を言うが、それが須藤黒闇という男なのだ。
今は、ようやくそれを理解した。
顔は、確かに涅槃と似ているかもしれないが、その中身は全く違う。
純粋で無邪気で優しくて、乙女のような夢を見る頼もしい漢だ。
(そう考えると、この人ってば、めちゃくちゃ可愛い人じゃないか)
朝日の中で芽生えていた恋心が、一層花開くのを感じる。
そこでふと、思い至った。
「そういえば須藤さんは、その、結婚式はどうするつもりですか?」
同性の結婚もそうだが、きちんと結婚式まで挙げるケースも、今はメジャーになった。
きよしとカオルも、将来は式を挙げる事まで考えているようだし……だが、籍だけ入れてそれで済ますカップルも今は多い。
しかし、根が乙女な須藤はしっかりと考えていたようだ。
「もちろん、大勢呼んで盛大な式を挙げようぜ」
「いえ、それなら……本当に近しい人だけの方が、僕はいいかな……」
朝日がそう希望を口にしたところ、須藤は即座に頷いた。
「分かった。俺の方は宇野と、上の兄貴達だけ呼ぶことにしよう」
「兄貴達? 須藤さんには上にお兄さんがいるんですか? ご両親は?」
「まぁ、呼んだら来るとは思うが……ずっとブラジルにいるからなぁ……」
「ブラジル!?」
「ああ。日系三世で日本オタクの両親だ。日本語が話せないクセに、黒闇だの涅槃だの、意味も知らずに字面だけ見て子供に名前を付けた、最高に痛いクレイジーな親だ」
「……お兄さん達のお名前は?」
「羅刹と修羅」
「……須藤さん、黒闇でまだ(?)良かったですね」
思わずそう呟いた朝日に、須藤は苦笑を漏らした。
「ああ、俺もそう思う」
クシャッと顔を歪めて笑う須藤は、本当に可愛いと思える。
もう、こんな男、愛さずにはいられない!
「須藤さん、僕と結婚してください」
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