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次の日、涼くんが小屋をのぞきに来ました。
「だめじゃないか、コロ」
とコロをしかって、サッカーボールを大事そうに取り出します。サッカーボールは涼くんの宝物だから、姿が見えなくなると、すぐに探しにきてもらえます。
「涼! オレもここにいるぞ!」
小屋の奥で、ヒダリが必死に叫びますが、その声は涼くんに届きません。後ろ姿が小さくなっていきます。足には、今日もブルーシューズが履かれていました。
――サッカーボールのやつ、いい考えがあるって言ったくせに、なにも起こらないじゃないか。自分が助かれば、それでいいのか?
ヒダリはなにもかもいやになりました。
その夜、コロはまたシューズをくわえてきました。あの生意気そうな目をしていたブルーシューズのヒダリです。
「やめて~! なんで、こんなことするの~」
コロにベロベロなめられながら、ブルーシューズが叫びます。すると、コロが言いました。
「サッカーボールが教えてくれたんだ。サッカーをやったあとのシューズは、すごく涼くんのにおいがするってね」
――えっ、サッカーボールのやつ、そんなことを言ったのか?
ヒダリは裏切られたと思いました。
――あいつ、いい考えがあるなんて言って、おれたちシューズを全滅させる気だったんだ。どうすりゃいいんだ! ハア、ハア、ハア……。
ヒダリはまた、息苦しくなってきました。
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