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 表に出したくないものを多く抱えている者たちだ、噂話の好きな街の連中があること無いこと探り出し社会的に制裁を受けることになれば、彼の思惑通りというわけだ。  十三年前のあの事件で、積み重なった恨み辛みと限度を超えた欲の先に犠牲になった者たち全てが救うに値する者だったとは思っていない。それでも彼の中にひとつだけあった失いたくなかったものが消えたことで空いた大きな穴を塞ぐための蓋くらいにはなるだろうと。  でもそれは、本当に蓋たり得るのか。  その存在が望まぬ復讐を、彼が行う必要はあったのか。  舞台の隅から顔を出し、裏へと繋がる整備用の潜り戸を潜れば外まであと少し。ひと気が無いことを確認して次の動作へ移った影に向け、先を読んで待ち構えていたシロヤマが一筋の強い光を向けた。 「貴方が連続爆発事件の犯人ですね」
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