灰色天使

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「そういうことではなく、これは決定事項なのです。あなたに拒否権はありません」 「そう言われましても困ります。こちらにも準備があるので、一度出直してもらえませんかね」 「いやいや、死んだものがこの世に留まったら、それはいわゆる悪霊です。あなたはそういう存在に分類されたいのですか」 「この際やむをえないかなと」 「いやいやいや」  悪霊といわれようが、わたしは今この世を離れるわけにはいかない。なんとしても食い下がらなければ。 「こちらとしても困るんですよ。規則ですから」 「規則は破るためにあるんです。常識ですよ」 「そんな常識はない」  なんだかんだ言いながら、彼は真面目にわたしの言葉に反応してくる。やりようによっては切り抜けられるかも知れない。  子供の頃に母親と喧嘩して鍛えた、屁理屈力を発揮する時が来たようだ。
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