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「そもそもね、今日突然雨を降らせるから、わたしは急ぐことになったんです。天気予報に背くなんてどういうつもりですか」
「……なんですか? 天気予報?」
「今日は終日晴れ予報。そう聞いていたから、わたしは洗濯物を干したままにしてきたんです。それなのに、突然雨を降らせるなんて酷いじゃないですか」
「そう言われましても、天気に関しては管轄外というか」
「わたしとしてはね、そちらのミスに巻き込まれた形なわけですよ。まさか、責任はないなんて言わないですよね」
「いやあ、だから天気は、その……」
彼は相当困っている。ここまでくれば、後一押しだ。
「そこで、天使さんのご助力が必要なわけです。あなたは今日この日の為に存在していたと言っても過言ではない」
「……そうなのですか?」
「これは、そちらのミスを取り返すチャンスです。雨のことは水に流しますから、ちょっとだけ時間を戻して、やり直してみませんか」
「あのう、大変申し上げにくいのですが、そんな大それた力はわたしにはないんですよ。わたしに出来るのは、せいぜい成仏される時間を伸ばすぐらいでしょうか」
ついに目的の言葉を引き出した。ここからが勝負だ。
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