<5・カチタイ。>

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<5・カチタイ。>

 一体どれだけの時間、そのまま床に座り込んでいただろう。ひょっとしたら一時間以上が過ぎていたかもしれないし、僅か数秒程度だったかもしれない。  確かなことは藍子にとって、まるで時間が凍ってしまったかと思うほど長く感じたということだ。 ――どうして。  我ながら、同じところで立ち止まっている。わかっている。それでも。 ――二人で一緒にデビューしようって言ってそれでアイデアをノートに書いて確かにあれは中学生の時のことだったから今もその約束が生きてるとかそういうことを思ってるわけじゃないし合作共作でデビューするのは現実的じゃないからそれぞれ頑張ろうねって言ってノートについて明らかにしなかったのは私のミスなのもわかってるけどだからってそれを無断で使われるなんて思ってもみなかったし一言の挨拶や許可もないとかいやでもそもそもちゃんとあのノートを預けっぱなしにしなければ良かったんじゃないだろうかとはいえ今更中学の時のノート返してとは言いづらかったしそもそもノート買ったのは確かにえみなだったわけだからじゃあそこに書いてあるアイデアをえみなが自分のものにしてもおかしなことじゃないんだろうかでもアイデアだけじゃなくてプロットとかもあるしキャラクターの設定画とか書いたのはほとんど私の方だったようなああいうものって時効ってあるんだっけ法律じゃないからそういう考えは無意味なのかなそもそもアイデアとかプロットだと著作権の主張って無意味な気がするし大体彼女も参加はしていたから一概に盗作って言うのもおかしいのかなそう呼ぶのも嫌ではあるけどでもどうしてこんなにもやもやするんだろういやでもそうじゃなくて本当は本当に嫌なのはだめ頭、回らないぜんぜんどうすればいいのかねええみな、えみな、えみな……!  ぐるぐる。  ぐるぐる。  ぐるぐる。  ぐるぐる。  ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる――。  ピンポーン。 「!」
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