<8・コワガリ。>

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 ***  囚森、のあらすじはこうだ。  ユーチューバーとして一旗挙げようと目論む、大学生の四人組。主人公のタイチ、ヒロインのエリカ、タイチの友人のマナとケータ。怖い話を求めて辺境の町を訪れたはいいが、狙っていたネタはガセ。町の居酒屋で飲んだくれていたところで、裏手の森が“禁域”になっているということを耳にするのだ。  森の中には特別な神社があり、そこは町の守り神様が住んでいるという。しかし、神社にはなんと特別な方法を使わなければ入れない。神主でさえ、本当の入口は知らない。夜のある時間だけ鳥居が現れ、その奥に神様が住む聖域があるというのだ。  聖域に普通の人間は入ってはいけない。  ましてや縄張りの外から来た人間は敵とみなされる。町の外から来た者が万が一でも入り込むと、神様の怒りに触れ、生贄にされてしまうというのだ。 『面白そう、神様なんか撮影できたら超バズるじゃん!』  言い出したのは、いつもお調子者のマナ。マナの尻に敷かれている彼氏のケータも賛成し、エリカも乗り気だったことでなし崩しにタイチも一緒に行くことになってしまう。四人ともやけ酒で酔っぱらっていたというのも大きい。  居酒屋の亭主が止めるのも聞かず、四人で夜の真っ暗な道を進み、森の方へと入っていってしまうのだ。  森へ暫く踏み込んですぐ、マナが行方を晦ましてしまう。彼女を探して三人が彷徨っていると、神社の鳥居を発見することに。そこを潜った途端、彼等は真っ赤な空と黒い森という、奇妙な空間に迷い込んでしまうことになるのだ。  どうにか元来た鳥居を探そうと駆け回る大学生たち。すると、祭壇のような場所で、生きたまま腸を引きずり出されて殺されるマナの姿を見てしまい――とまあ、こういう流れだ。  彼等を追いかけまわす黒い怪物。  見つからない出口。  最終的にはがケータが殺され、怪物にタイチが捕まったのをエリカが見捨てて一人で逃げ延びる。  無事元の世界に帰ることができたエリカだが呪いは終わっておらず、彼女が暮らす部屋に青白い顔をした三人が現れて、彼女の腹を強引に引き裂いてしまい、バッドエンドで終わる。筋としては、かなりわかりやすい部類に入るだろう。  多くのジャンルではハッピーエンドが望まれるものだが、ホラーだけは例外だというのは有名な話だ。都合が良すぎるハッピーエンドより、理不尽なバッドエンドの方が納得されることが多い。それは多分、他のジャンルとは求めているものが違うからなのだろう。
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