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<13・シュウセイ。>
『あのさあ、ウロチョロウロチョロ、いい加減うっとおしーんですけどお?』
大坂恵理子。
そんな名札をつけた女性は、イライラした様子でこちらへ歩いてくる。
『いつまでもいつまでも逃げ回ってばーっかり。さっさと死んでくれなきゃ困るっていうか、あんた一人にいつまでも構ってらんないのよ。こっちは、一人でも多く、さっさと殺さなきゃいけないんだから!』
『な、なんでわたしなんですか!なんで、どうして!?』
『はあ?』
『わ、わたし、あなたのことなんか知らない!このゲームで会ったばっかりで、なのにどうして殺されなきゃいけないのかわかりません!』
『はああああああああああああ?あんた、馬鹿じゃないの?ゲームのルール聞いてなかったわけえ?』
彼女は呆れ果てた声で言った。
『あのねえ、このゲームで生き残れるのは一人だけなの。生き残りたかったら、他の参加者は全員殺さなきゃいけないの。最初にさ、あのお屋敷で運営サンに説明されたでしょうが。そのために、あたし達全員こうして武器を支給されてんのよ?あんただって、今その手に持ってる包丁はなんなの?』
『そ、それは身を護るために』
『そうでしょうよ。つまり、死にそうになったら自分を守るために人を殺そうってなわけ。じゃああたしと一緒。責められるいわれなんかないわ』
『い、一緒なんかじゃない!わたしは、できれば人なんか殺したくない。な、な、なんとかしてこの森から逃げ出す方法を……!』
『どうやって?この森の周辺は、みんなテロリストが見張ってるのよ?ワナだっていろいろあるって話じゃない。それを潜り抜けてどうやって脱出するつもり?大体、この場所携帯の電波も通じないから、ここがどこだかもわかんない。それでどうやっておうちに帰るつもりなんだか』
『そ、そんなこと言われても』
『ほらまた泣く、すーぐ泣く!お子様はそうやって泣けば解決すると思ってる。だからガキってのは嫌いなのよ!』
『う、うう、う』
恵理子は怒鳴った。わたしは、どうすればいいのかわからなかった。
だってとても怖かった。殺されたくなんてなかった。脱出して生き残りたいと思うのが、そんなにおかしなことだなんて思えなかった。
座り込んだまま、ぐずぐずと鼻を鳴らしてしまう。どうして、出会う人で会う人みんなイジワルばかり言うのだろう?
『ああ、もういいわ。マジでムカつくから。イイコぶって、自分じゃなんも解決しようとしないお子様。どうせ生き残ったって、世間の役に立つことなんかできないでしょ』
恵理子はおす言い放つと、ナイフを振り上げた。
わたしは、本当のここで殺されるんだ。そう思ったらまた涙が出て、目をぎゅっとつむるしかなかった。
『お願い、お願い、助けて』
『嫌よ』
『助けて、お願いだから』
『だから、そんな命乞いを聞く理由なんかあたしにはないの。諦めなさいよ』
『やだ、やだ、いや、いや、いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』
耳を塞いで、わたしは絶叫した。
――お願い、助けて、栄太くん!
『助けて、助けてえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!』
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