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――若い人向けで、ライト勢にも読みやすいように会話も多めにしてあるし……ていうか、会話の方が書きやすいってのもあるんだけど……難しい言葉とか避けて書いたからさくさく読める、と思うんだけど。
むむむむむ、とパソコンの画面を睨んでいると、メールボックスに通知が入った。誰だろうと思ってみれば、件名に“六条ですが”とある。
六条帝。どうやら隣の部屋に住む“桐原ミカ”先生が、メールをくれたというわけらしい。同時にぽろろろん、とスマホが鳴った。こっちはLINEだ。交換した連絡先を、早速使ってくれたようだった。
『お前が、秋山ライト文芸新人賞に応募したっていうホラー小説、“地獄のバトル”を読ませて貰った』
サファイアを象った、キラキラした丸。それが帝のLINEアイコンだった。どこかの素材サイトから借りたものであるらしい。
『感想とアドバイス、一応メールにも添付した。やる気があるなら確認するように』
『やる気あるなら……ってそりゃどういう意味なの』
『決まってる。前にも言ったように、かなり厳しい意見を書いた。怖かったらシッポ巻いて逃げてもいいぞ、無理強いはしない』
「むううううううううううううううううううううううう!」
そりゃどういう意味だ、と藍子はスマホを握ってプンスコした。確かに一次落ちした作品ではあるし、カテエラで落ちたというのでなければなんらかの大きな原因があるのはわかっていたことだ。そして、多少厳しい意見が来ても、それを糧にするべきだと思って意見を求めたのも自分である。
だがしかし――しかし。この作品なら一次審査突破は固いだろうと思って応募した作品ではあるのだ。そこまでくそみそに言われる筋合いはないと思うのだが。
『そんなにひどい作品だったつもりないんですけど!?それに、私が読んで欲しいって言ったのに、読まないで逃げるとかそんなことするわけないじゃない!』
ぷんぷんしながらメッセージ送信。
ついでに怒っているパンダのスタンプも送信。
で、その結果帰ってきたのがこれだ。
『┐( ̄ヘ ̄)┌ ヤレヤレ・・・』
――うわほんと腹立つその顔文字!!
呆れ果てた猫のスタンプに、顔文字まで送ってきた。いや、確かに自分はワナビだけれど。彼はプロだけれど。そこまで露骨な反応しなくてもいいではないか!
『努力は認める』
こちらがさらに返信する前に、向こうからLINEが来た。
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