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* * *
で、はじまった俺の新生活。
寝床があるだけマシと言いたいが、とにかく雑な扱いだ
俺に与えられたのは立派な城の片隅にある、おんぼろの小屋で…ったく、いつから掃除してないんだ??埃がひどかった。
妹の目が離れた途端これとか……先が思いやられるよ。
「ま、寝れたいいさ。ネズミだけは会いたくないけど」
掃除くらい自分で出来る、食事は自分で作ればいい。
それに連中もバカじゃない。
妹の食事を作るときは呼ばれ、城の中にある立派な台所へと案内された。
「ふーん、調味料やハーブまで揃ってんのか」
名称は違うと思うけど塩も砂糖も常備されていた。とくに俺の加護が役立つ事はなさそうで安心した。
(これは…、胡瓜ぽい味。こっちはなんだろ?)
よく分からない食材ばっかりだけど肉も野菜も豊富に用意されてある。それに妹の…聖女様の口に入るものだ、ここに置かれた食材はみんな厳選されているのか虫食いの跡すらない。
まず生で齧って、なるべく親しい味を探す。
俺の仕事は妹の弁当を作ることだけ。
あとは小屋の掃除。
『今日はから揚げが食べたいです!』
リクエストのメモを預かると、かわいいイラストまで書かれている。
いつもありがとう、なんて~~~~、ほんっと聖女だろ!!妹がかわいいッ!!
よーっし頑張るぞ!!と今日も張り切って作るのに、なんでだろ………?
皿に盛るとスーッと消えていく、唐揚げだけが。けどすぐ唐揚げが戻ってきて皿の上をぽんぽんと跳ねている、「あつっ、あちっ!」と架空のBGMが聞こえそうな勢いで。
けど諦めない精神なのか、またスーッと………
「コラッ、そっちもまだ熱いぞ!火傷するからやめなさい!」
て、ふふっと緩む頬をおさえて思わず空気に叱る。
台所には俺しかいないんだから完全なる独り言だけど……でも、…なんか…… つまみぐいされてるみたいで可笑しかった。
「こっちのは冷めてるから大丈夫。でもまだ中は熱いからフーフーするんだよ?」
すると消えて二度と戻ってこない唐揚げ。
……実に不思議な光景だ。
何故かはわからないけど、この世界には唐揚げが大好きな妖精でもいるらしい。(幽霊は怖いのでちょっと考えない)。
「それ気に入ったんなら、聖女様に感謝してくれよ?」
唐揚げの妖精さんが妹を守ってくれるのなら、これは、その…
(お供え的な………?)
まーーーいっか!!なんせ食材も豊富だ
よく食べる兄か弟が増えたみたいで、ちょっと嬉しかった。
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