死の森

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死の森

「XXX、XXXX!」 「わぁ、ごめんなさい!ほんと俺、怪しいモノじゃないんですって!!」 「よせ、XXXX…」 興奮する仲間を、頭の鎧の上から尾長の青い羽根をつけた人が落ち着かせてくれた。 他の騎士にはそれがないから、おそらくこの人がリーダーか、それに近いポジションなんだと思う。 「ごめんなさい…本当…俺も、どうしてここにいるのか知らないんだ」 いくら問い詰められられたって分からない、伝わらない。 うっうっ…、一体どうしたらいいんだ?? 幸い騎士達は、俺を縄で拘束しただけで斬り捨てることも、剣を見せて脅してくるようなことはしなかった。しかし樹海のような場所を歩くには軽装で、武器も所持していない地味な男を怪しいと思わないはずもない。 放置されなかったのはありがたい。 俺は手を拘束された状態で彼らに連行されることとなった。 「XXX、XXX?」 「えっと、ほんとうにすみません……」 あぁ、またがっかりさせてしまった……。 彼らと共に移動してしばらく。どうして彼等が俺を生かしてくれたのか分かった。 それは…… 「―――クソッ、まただ!!!」 「XXX、XXX…っ、!!!」 "またここに戻ってきてしまった!!" 大樹の幹につけられた剣傷をみて、何人もの騎士が絶望の声を上げた。 「……っ、」 たぶん彼等も俺と同じか、もしくは似た境遇だったのだ。 そして、同じ場所に辿り着いたのが三度目になれば俺にだって分かる。 ここは深い迷路のような森だ……。 「…………」 「………、………」 まただ、もういやだ…。出口のない状況に、全員の気力が叩き折られた。地面に崩れ泣き喚く騎士に傷口が痛み横たわる騎士と…絶望に暮れる様子はまさに地獄絵図で、俺もじんじんと歩き疲れる足を見た。 そして今日は歩くことをやめたのか、隊長さんが何か指示を出した。 (魔法って凄いな…。けど…) 離れたところに腰を降ろして様子を見る。 彼等は魔法で水と火でお湯を作り、器用にも鎧を加工して作った器に注ぐと全員に配った。 ただの水分補給ではない。あれが……おそらく彼等の食事なのだ。 「ほら、君も」 「えっ、え……?」 まさかの目の間に差し出された器に、固まった。 驚いた事に隊長さんは腕の縄を解いて、俺にも施しを与えてくれたのだ。 「あ…ありがとうございます」 ”いいさ、別に。” そう返された気がする、とても固く、元気のない声で…。
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