ダンジョンは生きている

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ダンジョンは生きている

 例えるなら天を突く槍のようだ。頂上が見えないほどに高いこの塔は、3日前まで人ひとりが入るくらいの四角い箱だったという。 「随分と大きくなりましたね」 「ええ。我々もまさかここまで高くなるとは思わなくてですね」 「次は不審物を見つけたら、すぐにギルドか警備隊に連絡してくださいね」 「はい、次回からはそのようにいたします」  ぺこりと頭を下げた初老の男はこの村の長だ。他にも数人若い男がいるが皆、不安げに塔を見上げるだけ。突然現れた塔への対処がわからず、ギルドに連絡してきたのだ。 「まずはこいつの正体を探ります。まあ、十中八九ダンジョンだとは思うのですがいちおう、調べますね」 「はい、よろしくお願いします」  塔に手を触れて目を閉じて意識を集中させる。ざらりとした木のような触感だが石材のような冷たさを感じた。さらに、この塔からはドクンドクンという魔力の鼓動が聞こえる。普通の建物から感じることはない、間違いなくダンジョンだ。集中を解き、持ってきた調査票を取り出して欄を埋めていく。 「やっぱりダンジョンですね」 「はあ……それで我々はどうすれば」 「この土地の所有者の方は」
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