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「祈りに来る人、増えちゃったりして」
「それより。いつか、スレィアニアの星が地球に巡り合い、どちらも楽しく暮らせる日が来るほうが大事じゃないか? なあ、レイヴさん」
香苗の父親が話しかけると、そうですね、と苦笑する声が響く。
そうか。スレィアニアの星にいるレイヴさんは、地球上の子供と気軽に会えないのかな。
でも、今はとにかく、こう伝えないと。
「レイヴさん! お子さん、おめでとう!」
「ああ、本当に、ありがとう!」
はにかむように笑った彼の声は、どこにでもいる地球上の、誰かのパパの音をしている。
「すごいよ。1時間だ。1時間も寿命が伸びた! おかげで演算を完成させて、仲間たちの異変をチェックして、その成果を論文にまとめて、そして。今から、君たちのところへ向かう。時間はもうほとんどないんです……」
「え、あれ? 寿命が延びたって……」
「ああ、そうか! 勘違いさせたなら、申し訳ない。地球人ほど長くは生きられないんです! 結局、スレィアニアの星として延びただけだからね!」
香苗とその父は目を見開いて、電話を見つめた。
ぶつ、ぶつ、音声が途切れていく。
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