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たまに神社には、病気の快癒を願ってやってくる人がいる。父も母も口には出さないが、中にはお祓いを受けたにも関わらず効果がなかったと責める人がいることを、香苗は知っていた。
もしもレイヴが過剰な期待をお祓いに抱いているのなら……香苗は『そんなにすごいことではない』と言うべきかもしれない、と感じていた。それこそが、彼への誠意のように思えた。
意を決して口を開いた香苗より早く、レイヴが言う。
「我々スレィアニア星人は、産まれたその時から寿命が政府により定められています。星の限られた質量を種族全体で活かすべく、多くの学者が携わり、個性に基づいて生きる時間を管理しているのです」
「……レイヴさんは宇宙人なんですか?」
戸惑いを隠せず、香苗は尋ねる。いったい彼が何を言い出したのか、さっぱりわからなかった。
だがレイヴの方も不思議そうに首をかしげる。
「地球の人も、宇宙に住んでおられるではありませんか」
「ああ、それは、そうなんですけど……うーん。地球人ではない、ということですね?」
「ええ。スレィアニア星人です」
「……スレィアニア星人」
「はい」
どう返事をすればいいのだろう。困ってしまった香苗に、レイヴはさらに続けて言う。
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