紫の目の依頼

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「私が延命を祈るという行為に惹かれるのは、私ができることに比べると、何もかもが違うのです。たとえば、光よりも早い宇宙船の中であれば、ある場所から見たときに時間が非常に遅く進む……という意味での、スレィアニア星に生きる同胞と比べて寿命を延ばす手法とは、明らかに違います。医学的に寿命を延ばす行為、いわゆる治療とも、祈りは異なるようなのです」 「はぁ……」 「そしていくつかの検討を重ねた結果、この神社がもっともよいと考えました」 「……もっと大きな神社へ行くという考えは?」 「いいえ。この神社がよいのです」  なんと返事をすべきだろう。  香苗がじっと考え込んでいると、玄関から誰かが入ってくる足音が聞こえる。 「ただいまー。あっ、お客様かい?」  すたすたと歩いてくる父が、レイヴの美貌にぎょっとして足を止める。香苗に視線が送られるが、何とも言いようがない。 「えーと。あの、お父さん、病気平癒? いや、厄祓なのかな? とにかく、災厄を祓うお祈りをしてほしいんだって」 「そうなのかい? こんにちは。神主の仙崎と申します。詳しくお話を伺っても?」  言われたレイヴは何も迷うことなく『私はスレィアニア星人です』と告げ、香苗が聞いた通りのことを話した。  自分の寿命はあと少しであること。  そして自分の住むスレィアニア星では、生きる時間が制限されていること。  そんな中でも、どうしても生きていたいこと。
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