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「それは……地球の人とは、ずいぶん違いますね」
父は香苗をちらりと見て、レイヴに視線を戻す。そして『少しお待ちください』と言い残して奥へ引っ込んだ。
「あれは、依頼を受けてくれるということでしょうか」
「ちょっと、分かりません」
「では、他に何をすれば引き受けていただけるのですか?」
「えーと……」
香苗は考えるが、答えられない。今頃父は仕事の用意をする部屋で、何をしているんだろう。まさか裏口から逃げたんじゃないか。
考え込んでいた香苗は、ハッ、として尋ねた。
「スレィアニア星って、地球とずいぶん違うんですか? いったいどんな星なんですか?」
「地球より少し小さい惑星で、大気の成分もほぼ同じです」
「じゃあ、たとえば地球人がそちらにいっても、呼吸は大丈夫なんですね」
「はい。呼吸に問題はありません」
レイヴはうなずく。香苗は質問を続けることにした。
「あの、その……寿命は? あ、いえ、地球の人と比べてという意味ですけれど……」
彼は少しだけ考えてから、答えた。
「地球の時間にすると、30年です」
「……レイヴさんはあと何年生きてみたいんですか?」
「規定された時間より、出来れば5分だけ」
「……5分」
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