第1話 始まってしまいました

1/1
前へ
/64ページ
次へ

第1話 始まってしまいました

「平民の癖に私に逆らうと言うの、クッキー=ペパーミント !」  イライザが、またクッキーのことをイジメています。  いじめられているクッキーは、イライザの友達 兼 専属メイド候補として孤児院からバーボン伯爵家に引き取られた孤児な訳ですが……  私、シエスタ=カルアミルクの隣では、狼狽えているアンポンタン令息 アルフォンス=バーボンが居ます。 「大丈夫、僕は君に意地悪なんてしないから」  なんて、カッコ良いセリフを言っているつもりでしょうけど、手足が震えていますよ。 「はい、アルフォンス様が 意地悪をしない事は判っています。  只、彼女 クッキーは私の孤児院時代からの友達だから心配です」  可愛い演技をしながら言うと、意を決して、 「いい加減、止めた方が良いよ、イライザ !」 「あら、お兄様は (わたくし)よりこの平民の味方をなさるんですの ? 」  イライザがイライラしながらアルフォンス様を(にら)んでいますね。  自分の妹に脅えてどうするんでしょうか、このヘタレは。  だけど、私に良い処を見せようと努力する姿は評価しても良いでしょう。  元々は、イライザにお茶を入れようとしたクッキーにイライザが意地悪をして、(わざ)とお茶菓子を(こぼ)したのを、クッキーのせいにした事が始まりなのです。  そう、このまま行くと このアンポンタン兄妹は破滅するのです。  何故、私が未来を知っているのか と云うと……  訓練中に頭を打って前世とらやらの記憶を思い出したのです。  どうやら、異世界転生と云う奴のようですが、テンプレ過ぎて笑ってしまいます。  それも、Web小説の底辺作者の物語のようですね。  神だか女神だか知りませんが、会ったら全力で殴ることにしましょう !  それよりも、何とかしないと アンポンタン令息に巻き込まれて私も破滅してしまいます。  アンポンタン令息は、どうでも良いのですが、私だけは何としても生き延びて幸せに成らねば成りません !
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加