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第6話 一難去ってまた一難 ①
【シエスタside】
予想どおり、キャスバル様は死ななかったようですね。
でも油断大敵です、原作への補正、揺り戻しがあるかも知れません。
それより問題は……
「何処に行っていたんだよぉ~シエスタァ~
アイスの食べ過ぎでお腹が痛かったんだぞぉ~
シエスタが居ないから不安で不安で…… 」
涙を浮かべながら私に抗議するアルフォンス様。
調教……じゃなく教育のせいで、すっかり私に依存するように成ってしまいました。
底辺作者ルシアンの原作では、生意気で嫌味で可愛げの無い性格だったのですが、私の教育のお陰で素直で優しい少年に成長しました。
また、原作小説ではニキビだらけの顔でしたが、好き嫌いをさせずにバランスの良い食生活に変えさせました。
原作小説では肥満体だった身体も今では健康体と云える身体つきに変化しています。
なんと云うことでしょう !
原作小説とも父親のオスカーとも違う美少年が出来上がりました !
私がアルフォンス様を付きっきりで、お世話していたのを見ていたオスカー伯爵とヒルデガルド婦人は、私に絶大な信頼を寄せるように成りました。
何故なら、原作小説のアルフォンス様の従兄弟であるバーボン子爵の令息ニールが、まさにその姿だったからです。
原作小説で貴族の子供達が入学する アーレンバッハ学園では、まるで双子のようだった二人でしたが、アルフォンス様の変化により、最早、彼らを醜い双子と揶揄する者はいないでしょうね。
バーボン子爵の令息ニールは、原作小説通りの容姿と性格らしく使用人達からも敬遠されているようです。
「アルフォンス様、そのように使用人に甘えては、要らぬ誤解をされてしまうので お止めください 」
と忠告するのですが、
「二人だけの時は、『アル』と呼んでおくれよ、シエスタぁ~ 」
私、何処で間違えたのでしょう ?
原作小説では学園卒業後に、美しく育ったクッキーに恋をして、さまざまな場面でクッキーの恋の邪魔をするのですが……
当のクッキーはと云えば、キャスバルが生き残ったせいか、少しだけイライザとも仲良しに成ったようですね。
本来ならキャスバルの『死』をキッカケにして、イライザやアルフォンスの意地悪が過熱して、冤罪をかけられて お屋敷を追い出されてしまうのですが……
そして、街を彷徨いている処をジークフリート王子に拾われてから彼女の人生が激変するハズだったのですが……
このままだと、イライザお嬢様付きのメイドとして生きて行くことに成りそうですね。
つまり、連続授受繋ぎで起こる不幸に巻き込まれなく成ったアルフォンス様や私の首が繋がったことに成ります。
うん、めでたし、めでたし、ですね。
バターン 💥
突然、玄関のドアが開き……
「たっ 大変です !
キャスバル様が ジークフリート王子と一緒に、此方に向かっているそうです ! 」
キャスバル様の先触れを受け取った、執事見習いのマティアスが飛び込んで来ました。
……どうやら私の平和は、まだのようですね。
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