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金色の彼女 8
私の足元で、藤野香織が眠っている。ブルーシートの上に横たわっている。
自宅の裏庭。周囲の生け垣が伸びきった、外から遮断された空間。
──子犬を飼ったから、見に来なよ。
放課後にそう言って誘うと、藤野香織は喜んでついてきた。裏庭で飼っていると嘘をついて連れていき、犬がいないことを不審がる彼女の首筋に背後から手を当て、気絶させた。おばあちゃんから、教わった手法だった。
「…………」
目の前の、小柄な制服姿。意識を失い、脱力している。わずかに開いた唇。血色のいい頬。屈んで、長い髪を撫でる。サラサラとした手触りに、愛おしさを覚えた。藤野香織の耳元に口を寄せ、私は低くつぶやいた。
「あなたのおかげで、おばあちゃんは元気になるかもしれない。あなたが本当に、優しい人であることを願うよ。だってそのために、友だちになったんだもの。そのために、あなたを近くで観察していたんだもの」
姿勢を戻した私は、藤野香織の制服を脱がしていく。服をだらしなく放置してはいけないとおばあちゃんに教わっているので、一枚一枚丁寧にたたみ、ブルーシートの端の方に置いていく。
重ねた制服の上に最後に脱がせた靴下をのせた後、たたんでいた清潔な透明のシートを藤野香織とブルーシートの間に敷き、準備を終える。
そうして、汚れていてはいけないとウェットティッシュで手をしっかりと拭いてから、藤野香織のむき出しのお腹に両手を当て、意識を集中する。藤野香織を金色へと変える、その想像を強くして。
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