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加波 大吾と吾妻 泰我。二人は俺の舎弟で、共に二十歳。
戸部の借金取り立てで実杏の元へ出向いた時に居た二人でもあり、赤髪でロン毛の方が加波、黒髪で短髪の方が吾妻だ。
この二人、勢いはあるけどその分空回る事も多い。そんな二人の目付け役みたいになってる俺はいつも振り回されている。
「加波か? 瑛一さんから話は聞いた。今の状況は?」
『あ、はい……すいません。今は裏通りの方を中心に探してます』
「そうか。なら俺はアイツが懇意にしてる店とか回ってみる。何か動きがあれば連絡する」
『はい、よろしくお願いします』
電話で話した限り、アイツらも相当落ち込んでいるようで、いつになく元気が無い。
(ま、こういうヘマやらかして成長していくモンだしな、今回の事は良い刺激になるだろう)
それはそうと、早く見つけて人見さんのところへ連れて行かないと、覡組と人見金融の今後にも影響を及ぼす事になりかねないので、俺もすぐに捜索へ向かう。
仲原 悠二。コイツは良いところの生まれで元は金回りが良かったのだが、金遣いが荒いせいでギャンブルにハマり過ぎていた。そして、のめり込んだ結果負け続きが原因で金はみるみる減っていき、取り戻そうとまた別のギャンブルに手を出す。そんな事を繰り返しているうちに金は減り続けて借金までする始末。
当たれば返済、そしてまたつぎ込む。ギャンブル依存症の奴は金さえ出来れば夢を見て繰り返す。終わりが無い。
その結果、多方面で借金が膨れ上がり、返済出来なくて逃亡。その間にどこからか金を作り、一旦は返済をしてきたのだが、また同じ事を繰り返す。
そんな奴に金を貸さなけりゃいいのにとは思うが、利益優先の金融会社なんて金を返済してもらえりゃそれでいい訳で、基本どんな相手にも金を貸す。そして返せなければ、それ相応の報いを受けさせる事になるのだ。
まあ例外もあって、実杏のように知らないうちに借金押し付けられてる奴も中にはいるけど、仲原には皆愛想を尽かして離れていったようで頼れる者はなく、自身で返済するしか道は無い。
今回見つかれば、恐らくタダでは済まないだろう。
それが分かっているから逃げたんだろうが、こちらとしては大いに困る。
(……けどまあ、アイツの行きそうなところなんて限られてるだろうから、さっさと見つけるか)
ひとまず俺は過去に仲原が逃げ込んで居た場所を徹底的に探す事にした。
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