のびるのびるの神様

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「我、のびるのびるの神ぞ」 「そりゃさっき聞いたよ」  そう突っ込んだら、泣きそうな顔をされた。ごめんごめん、先続けて。心の中で思ったら、“神様“はうむ、と小さく頷いた。 「我、のびるのびるの神ぞ。お主がのばしたいもの、何でものばして進ぜよう」 「え? 何でも? マジ?」 「うむ」  勢い込む俺の言葉に、得意げに頷く幼児。じゃあれだ、絶対にあれだ。志望校の合格圏内に、ぜひとも入りたい。 「成績! 成績のばして!」 「無理」  だが、勢い込んで言った俺の言葉はあっさりと(しかも被せ気味に)拒否された。 「なんでだよ? 何でも伸ばせるって言ったじゃん?」  不満いっぱいの声と態度で言うと、“神様”は、いやいや、と首を横に振った。 「我がのばせるものには、条件がある。1つは、その者に属するもの。もう1つは、物理的に存在するもの。1日に何センチ伸ばす、そういうことが可能なものだけじゃ。故に、成績のような実体のないものを伸ばすのは無理なのじゃ」 「ふーん…。じゃあさ、眉毛伸ばしてって言ったら…」  できるのか? たとえばだけど、と聞こうとしたら皆まで言わせず、 「おお! 任せろ!!」  “神様”が手にした杖を勢いよく振り回し、途端にパッと周囲が明るくなり、  ぼぼん!  大音響とともに、俺はもくもくとした煙に包み込まれた。
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