のびるのびるの神様

4/13

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「あ? なんか、視界が悪いな…」  数分して煙が引いても、辺りがよく見えない。何かが瞼に被さっているような? そう思いながら姿見のほうを見て、 「うああああ!!?」  思わず悲鳴を上げた。俺の眉毛が、10センチほど伸びている。 「なんじゃこりゃあああ!!!」  絶叫する俺に、神様は満足げに微笑んで言った。 「基本的に、1日かけて12センチ伸びる。だが、初回は限定サービスで、すぐにも結果が得られるようになっているのじゃ」  12センチ? つまり、今瞬時に、12センチ眉毛が伸びたってことか??   いや待て、それより、今もっと聞き捨てならないことを聞いたような…。 「1日に12センチ伸びるって言ったか? つまり明日も、このくらい伸びる?」 「さよう。ただ、2日目からは一気にまとめてではなく、2時間に1センチの均等なペースでゆっくりと伸びる」  なぜかさらに得意げな神様。  2時間に1センチ伸びるのであれば、学校にいる間、つまり、朝9時から夕方5時の間で4センチは伸びることになる。そんなん、周囲のやつらも絶対気づくだろう。 「アホか! 早く元に戻せ!」 「アホとはなんじゃ! お前が願ったんだろうが!」 「がちで眉毛を伸ばしたいと願うやつなんて、いるわけないだろ? たとえばの話をしただけなのに、先走りやがって!」 「わからんわ! 紛らわしい!」  お互いけんか腰で言い合っていると、 「「見つけた!」」  窓のほうから見事なユニゾンが響いた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加