1人が本棚に入れています
本棚に追加
「全部元どおりにとは言わない。最初の1日、いや、2日までの分はそのままでいいから」
「そうそう、私の髪は24センチ長くなって」
「俺の身長は、プラス12センチ。カナちゃんより6センチ高い、夢の170超え」
随分と現金なお願いだな、と思いつつ、俺は慌てて言葉を継いだ。
「あ、俺は、全部元に戻してくれて構わないぞ。というか、戻して!」
さあ早く、さあさあ、と3人に詰め寄られて、神様は、うう、と呻き、それから、
「我、のびるのびるの神ぞ…」
と、視線を逸らし、やや歯切れ悪くそう言った。
「んなこたあ、わかってる。だから早く元に…」
言いかけると、少女がハッとした顔をして言った。
「待って! もしかしてこいつ、伸ばせるけど、戻したり伸びるの止めたりはできないってことなんじゃ…?」
「「えっ!!?」」
今度は少年と俺の声が重なり、顔を見合わせ、2人してさあっと青ざめた。
「嘘だろ? 止められないのか?」
「そんなはずないよな? な? 嘘だって言ってくれ!!」
必死の形相で詰め寄る俺たちに“神様“はさらに目を泳がせ、だらだらと冷や汗を流し出す。
「マジか…」
「止められないのか…」
絶望が3人の間に流れ始める。と、そのとき。
「こらぁぁあっ! ここにいたのか!!」
ものすごい怒号と光と大音響がして、神様も含めその場の全員が首を竦めた。
最初のコメントを投稿しよう!