のびるのびるの神様

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「全部元どおりにとは言わない。最初の1日、いや、2日までの分はそのままでいいから」 「そうそう、私の髪は24センチ長くなって」 「俺の身長は、プラス12センチ。カナちゃんより6センチ高い、夢の170超え」  随分と現金なお願いだな、と思いつつ、俺は慌てて言葉を継いだ。 「あ、俺は、全部元に戻してくれて構わないぞ。というか、戻して!」  さあ早く、さあさあ、と3人に詰め寄られて、神様は、うう、と呻き、それから、 「我、のびるのびるの神ぞ…」  と、視線を逸らし、やや歯切れ悪くそう言った。 「んなこたあ、わかってる。だから早く元に…」  言いかけると、少女がハッとした顔をして言った。 「待って! もしかしてこいつ、伸ばせるけど、戻したり伸びるの止めたりはできないってことなんじゃ…?」 「「えっ!!?」」  今度は少年と俺の声が重なり、顔を見合わせ、2人してさあっと青ざめた。 「嘘だろ? 止められないのか?」 「そんなはずないよな? な? 嘘だって言ってくれ!!」  必死の形相で詰め寄る俺たちに“神様“はさらに目を泳がせ、だらだらと冷や汗を流し出す。 「マジか…」 「止められないのか…」  絶望が3人の間に流れ始める。と、そのとき。 「こらぁぁあっ! ここにいたのか!!」  ものすごい怒号と光と大音響がして、神様も含めその場の全員が首を竦めた。
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