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ふかふかの寝床
そこには、おじさんの姿はなく。
幻か何かだったのかと少し拍子抜けしていると、じわじわとパニックになり体をジタバタと動かします。
それと同時に誰かが助けに来るのか、連絡がない状態で家に私が帰らなければ、ママが鑑先生を警察にすぐ突きつけるだろうと。
そう思った瞬間に少し気持ちが落ち着きます。
「ん〜。」自分の声とは別に耳元で見知らぬ声がしました。
みゆきは驚き横を向くとそこには先ほどの小さなおじさんがベッドに腰掛け髭を摩り首を傾げていました。
一度安堵したから、先ほどまでのパニックにはなりませんが、この気持ち悪い者はなんなのか恐怖と不安の中疑問に思います。
「こびと?」
みゆきがそう呟くと、おじさんは口をへの字に曲げたまま小刻み頷いて見せています。
「あなた、何?鑑先生の手下かなにか?」
すると今度は髭をさする態度も変えずに首を横に振ります。
おじさんはみゆきの方に向かい片手を外へ仰いで見せます、
まるであっちへ行けと言わんばかりに。
しかしみゆきは体をどかそうにも両手がつながっていて動くことができません。
「縛られてて動けないの。」
するとおじさんはすくりと立ち上がり、みゆきの頭の下にある枕を必死で引っ張ります。
突然のことに驚きもしますが、頭をゆっくりと持ち上げて枕を引っこ抜かせようと頭に力を入れます。
先ほどに比べて力も少し入るようになった様で、するりとおじさんは枕を引っこ抜きました。
枕をパンパンと叩いて求めていた物を見つけたという顔をして枕の上に寝転がります、体の小ささから枕はベッドのように見えました。
心の底から落ち着いたというような深いため息をつきこちらに背を向けるようにして眠りだします。
「あなたの枕・・・ベッドだったのね。ごめんなさい。」
おじさんは同じ体制のまま手を振って見せました。
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