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そもそも、このあたりは小さな国々がひしめくように存在していて、各国の王族どうしの政略結婚は、当たり前といえば当たり前のことだった。
綉葩の母も隣国から嫁いできた身で、結婚前には父の顔も見たことはなかったという。
それでも夫婦仲は睦まじく、父より先んじて五年ほど前に母が亡くなって以来、王として再婚をまわりじゅうから勧められても、なかなか首を縦にはふらないほどだった。
一夫多妻の国もあり、だから綉葩自身でさえ、貢ぎ物を積んだ隊商とともに不毛な砂漠をはるばる越え、二度と出ることのない自分の宮に入るまでは、己の境遇に疑問を持つことはなかった。
そう。
翌日さっそく、足を切られる処置を、施されるまでは。
いくら麻酔と外科の技術が発達している国とはいえ、自分で歩く力を奪われた屈辱は、今でも忘れることはできない。
というか、処置を施されて以来ずっと続く鈍い痛みが、忘れさせてはくれない。
そうやって、彼らにとっての『見栄えのよさ』だけのために、肉体を損傷されたことにも怒りを覚える。
聞けばこの処置に失敗して、後宮に入った早々、命を落とす者までいるという。
そんな事例があってもなおこの慣習が連綿と続いていること。
それはつまり。
自分たちは人間ではなく玩具として扱われているのだと、すぐに理解した。
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