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- 参 - 夜の熱
そうして、肌の粟立ちがひどくなった頃、ようやく煕佑が姿を現した。
宦官になったばかりの、体格の良い若者だ。
局部を切られた彼らは、時間が経つにつれ、男らしい筋力や肉付きといったものが失われてしまう者が多い。
だが、煕佑の肉体には、まだまだ、男としての名残があった。
生真面目な性格が垣間見えるような、かっちりとした略敬礼をしたあと、椅子の前に背を向けてしゃがむ。
綉葩がその広い背に身体を預けると、慎重にゆっくりと持ち上げられた。
薄衣しか身につけていない身には、彼の若々しい肉体の熱が、じんわりと伝わってくる。
すっかり冷えきっていた身体には、まるで吸い取ってでもいるように、煕佑の体温が染み渡っていった。
皮膚が一枚増えただけに過ぎないような、薄い布しか隔てるものがないからこそだ。
実はこれを身に着けて運ばれていくのにも、意味がある。
以前、心を病んだ后妃のひとりが、胸元に小さな刃物を忍ばせて寝所に入り、皇帝に切りつけたという事件があった。
それ以後、なにも隠し持っていないことを証明するために、ほとんど裸のような状態で向かうことが取り決めとされたのだ。
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