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「た、逮捕って、なんで、そうなるんですか? わ、わたし、これからどうなるんですか……?」
カタカタと隅に追い詰められたネズミのように震え出す。
「まず、特殊詐欺の受け子には詐欺罪が適用されます。詐欺罪は刑法第246条に定められている犯罪で、受け子になった人は『だます』という行為に関与していなくても、『受け子も詐欺の正犯にあたる』と判断されます」
荻野刑事の話を聞いた私は一気に青ざめる。
「そ、そんな……。た、例えば有罪判決になったらどうなるんですか?」
「詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役ですね。罰金の規定はないから、有罪判決を受けると必ず懲役が科せられます。まぁ被害総額にもよるけど、こういう特殊詐欺では初犯でも実刑となることも珍しくないから」
「じゅっ、10年以下の懲役!?」
(そ、そんな……)
「ふぇ……」と情けない声が漏れると、目の前が涙で一気に霞む。途端に堰を切ったように涙がポロポロと溢れ出した。
愛して育ててくれた両親に恥じないようにと、静かに小さな幸せを見つけては、真面目に生きていこうと思っていた。なのに犯罪者になってしまった。
仕事だって失う。友達も去ってしまう。社会的信用だって全くなくなる。それに刑務所で最長10年も服役しなければならない。
(どうしてこんな事になったの?)
私は取り調べのデスクに突っ伏すと、おいおいと泣き出した。
「お父さん、お母さん、こんな事になってしまってごめんなさい……!」
わあぁん、と大泣きをする。これから一体自分はどうなるんだろうかと怖くてひたすら泣いた。
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