第4章

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 再びしーんと沈黙が私達の間に流れる。  私は無意識のうちに握りしめていたフォークをそっとテーブルに置いた。  奏さんのことは正直今まで出会った男性の中で一番素敵な人だと思ってる。  これが時間や会話を2、3ヶ月重ね、信頼を築いた後だったら大喜びしていたに違いない。奏さんのような男性にそんな事を言われて喜ばない女性なんかいない。  でも、彼に会うのは今日でこれが2日目だ。なぜ彼のような男性が私みたいな女をこんな短時間で好きになったのかさっぱりわからない。正直な話、私は特に美人でもスタイルが良いわけでもない。  「……あの、奏さん。私が好きって、どうして……。だって私達先週出会ったばかりで、何もお互いの事を知らないじゃないですか」  「好きになるのに時間が必要か?」  「だ、だって、どう考えても、変じゃないですか……?そんな、いきなり好きだなんて……」  私は小さく笑った後、困惑した表情で彼を見つめ返した。  奏さんが今までどういう恋愛をしてきたのかさっぱりわからない。でももしかすると、思ってたよりもずっと軽い人なのかもしれない。  なんと言ってもこの容姿だ。好きだ、付き合ってくれなんて言われたら誰でも落ちる。女性を手玉に取ることなんていとも簡単だろう。  「あの……奏さん。私達はまだ出会ったばかりですし、友達から始めるのはどうでしょうか?私達にはまだまだ時間があるわけですし……」  私は小さく微笑むと、とにかく気持ちを落ち着けようとワイングラスに手を伸ばした。  彼のような何枚も上手な大人の男性に自分は太刀打ちできない。きっと散々弄ばれて、最後に手酷く捨てられてしまう。心に深く傷を負って立ち直れなくなってしまうのは目に見えている。  やんわりと彼の提案を断ると、奏さんは私が断る事を想定していたのだろう。表情も変えずさらに言葉を続けた。
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