第6章

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 「早くベッドに。お薬はどこにあるんですか?」  「キッチンの一番奥のキャビネットに入ってる」  私は彼をとりあえず寝室まで支えて歩くと、今度は急いでお水と薬を取りにキッチンに戻る。  彼に言われたように一番奥のキャビネットを開けると、そこには市販で売っている頭痛薬と違う病院でちゃんと処方してあるかなり強いものがある。  私はそれとお水を持って急いでベッドルームまで戻ると、奏さんに手渡した。  「はい、お薬です。それと、お水もここに」  「ごめん、ありがとう」  彼は薬を飲むと、再びどさりとベッドに仰向けになった。  部屋の明かりが頭痛によくないかと思い、電気を消すと小さなベッドサイドランプだけ灯した。その途端、私達は優しいオレンジ色の小さな灯りに包まれる。  「奏さん、よく頭痛がするんですか?」  私はベッドサイドテーブルに置いてある強い頭痛薬を見ながら、心配で彼の側に跪く。  「時々。特にこういう雨の日が続くと、よく片頭痛になるんだ。でも大丈夫。すぐに良くなるから」  彼の言葉にふと窓の外を見る。そういえば昨日からずっと雨が降り続いている。確か片頭痛は天気に左右されることがあると聞いたことがあるような気がする。  「……大丈夫ですか?吐き気とかないですか?」  奏さんは「大丈夫」と小さく微笑むけど、私は心配でウロウロとしてしまう。  頭痛の原因は色々あると思うけど、もしかすると水分不足もあるかと思いキッチンへと急ぐ。私がいつも朝やお風呂上がりに飲んでいるココナッツウォーターをグラスに注ぐと再び奏さんの隣に跪いた。  「一応ここにココナッツウォーターを置いときますね。電解質も豊富だから体内に吸収されやすいし、リラックス効果もあります。よかったらどうぞ」 その後、一応吐き気がした時の為に小さなゴミ箱も持ってきてそばに置く。
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