第6章

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 ♬••••♬••••♬  「えっと、次は進捗状況の確認ですが……」  私はPCの画面に引っ張り出してきた進捗状況のチャートを睨んだ。  小さなガラス張りの会議室にはバックエンドとフロントエンドのそれぞれのエンジニアのチームリーダーやサウンドクリエイター、それにデザイナーさんなどこのプロジェクトの重要メンバー6人がテーブルを囲んでいる。  「紫苑ちゃんのところ、ちょっと遅れ気味だよね。これ今月末のマイルストーンに間に合うかな。あそこの部分のタスクって結構量が多かったよね。やっぱリソース増やそうか?」  赤嶺さんの補佐としての私の主な仕事は、このプロジェクトでプログラマーさん達の仕事が円滑に進められるよう、ありとあらゆるサポートをすることだ。  毎週決められたマイルストーンがあって、こうしてその週の目標を無事達成できるように持って行かなければならない。そして随時その進捗状況や問題点を私の上司である赤嶺さんに報告することになっている。  「どうしよう……。結構みんな手一杯だよね……」  うーんと私は首を捻りながら皆の作業状況をざっと見た。あまり一人にだけ負担を大きくさせて残業を強いるわけにもいかない。  「俺やろうか?空いてるし」  「えっ、大丈夫?遊馬くん今結構いっぱいいっぱいじゃない?」  私はフロントエンドのエンジニアリーダーである、遊馬(あすま)圭佑(けいすけ)くんのスケジュールを急いで確認する。彼は私より2歳年上だけど、私や優華が入社した時に一緒に入ったいわゆる同期で気心の知れた友達だ。  「まぁなんとかなるだろ」  「本当に大丈夫?無理してない?」  私は爽やかでさっぱりとした顔立ちの彼を眉根を寄せて見る。もしこのしわ寄せが彼にいきすぎて残業を強いらせてしまったら、このプロジェクトを管理している私の責任にもなる。  「大丈夫、大丈夫。これやり終えたら一杯奢ってよ。貸し付けとくわ」  「わかった。でも一応後で作業量どれだけかかりそうか報告くれる?」  「了解」
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