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弘宣「ここへ毎日来てくれてますけど、お仕事の方は大丈夫なんですか…?」
ナポリタンを美味しそうに頬張る彼女に、俺は尋ねた。
華純「仕事…? してないけど?」
弘宣「えっ?」
華純「私、お嬢様だから。」
働かなくてもお金がある…ってことか?
華純「働かせてもらえないのよ、お嬢様だから。」
彼女は伏し目がちに、そう言った。
華純「私の役目はね、会社の利益になる人物と結婚すること。」
弘宣「政略結婚…ってやつですね。」
華純「そう。だから、小さい頃からずっと花嫁修行。女は賢いと男に気に入られないからって、勉強もろくにさせてもらえなかった。礼儀作法やらビジネスに関することは叩き込まれたけどね。」
弘宣「…大変だったんですね。」
華純「まぁそうね(苦笑)」
いつも元気な彼女の悲しそうな顔を初めて見た。
俺はなんだか、胸がチクリと痛くなって…、
弘宣「でも、大変だったからこそ、今の強いあなたがいる…。そんな気がします。」
彼女は目を見開いて俺を見ると…、
華純「キュン…。」
弘宣「えっ…?」
華純「今、とってもキュンってした!!!」
弘宣「そ、そうなんですか…??」
華純「はぁ…♡ やっぱりあなたは最高ね!」
なんかよくわからないけど…、俺は照れているのを隠しながら、
弘宣「あ…、ありがとうございます…。」
と、言った。
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