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ここまでどうやって歩いてきたのか覚えていない…。
気づけば俺は、公園のベンチに座っていた。
ここは、桃子さんとよく来た公園…。
このベンチに座って、一緒に弁当を食べたなぁ…。
俺が作ったサンドイッチを、美味しいってよく食べてくれるから、朝から張り切って作ったりなんかして…。
桃子さんは、俺のことを覚えていなかった。
あの頃すごく楽しかったけど、それは俺だけだったみたい…。
雨が降ってきた。
雨はしだいに強くなり、俺の身体を濡らしていく。
…ちょうど良い。
俺は頭を冷やさなければ。
もうあの頃の彼女はいない。
もう過去は戻ってはこない…。
ゆっくりと目を閉じた。
いっそ、このまま消えてしまいたい…。
すると、突然雨が当たらなくなった。
雨の音はするのに…?
目を開けると…、目の前に華純さんが傘持って立っていた。
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