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弘宣「な…、なんでここに?」
華純「それはこっちのセリフよ。探したんだからね!」
俺に傘を向けているから、彼女はみるみるびしょ濡れに…。
弘宣「…濡れてしまいます。」
俺は立ち上がり、傘を彼女の方へ傾けた。
華純「良いのよこれくらい。あなたの方がびしょ濡れじゃない。」
彼女は再び、俺に向かって傘を傾けた。
弘宣「でも、そういうわけには…。」
華純「分かったわよ! それならこうしましょ?」
彼女が俺に近づいた。
華純「これで2人一緒に入れるでしょ?」
弘宣「そう…ですね。」
俺たちはそのままベンチに腰掛けた。
冷たい雨の中、触れている肩だけが暖かい。
華純「…で?」
弘宣「…で?…とは…?」
華純「だから!話しなさいよ!何があったのか!!」
弘宣「あっ、でも…。」
俺の話なんか聞いたってきっとつまらない。
それに呆れられるだろう。
お金を盗って逃げた相手にまだ未練があるだなんて…。
華純「 …話したらね、結構楽になるものよ? 大丈夫、否定なんてしない。私が全部受け止めるから。」
彼女の優しい笑顔に、俺の胸の重たい蓋が外れた。
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