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俺は桃子さんとの過去を、洗いざらい話した。
華純さんは途中で口を挟むことなく、黙って頷きながら聞いてくれた。
そして、今日の出来事も…、
弘宣「今日…、彼女に偶然合ったんです。俺、嬉しくて…。それで、声をかけたんだけど…、俺のこと覚えてなかったんですよね(苦笑)やっぱり俺、みんなの言う通り、騙されてたんだなって実感しました。」
華純さんは、少し間を置いた後…、
華純「つまり…、あなたは失恋をしたのね。」
弘宣「そう…ですね。」
華純「ツラくて悲しくて、全てを投げ出してしまいたくなるほど苦しい…。」
弘宣「はい…。」
華純「そっか…。」
沈黙が続き、傘に当たる雨音だけが聞こえる。
華純「ねぇ…、私、知ってるわよ?」
弘宣「…?」
華純「失恋に1番効く薬、教えてあげようか?」
弘宣「薬…?」
華純「それはね、誰かに心から愛されることよ。」
そう言って彼女は、俺の唇に優しくキスをした。
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