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肝心のお味は…、
弘宣「…味がしない。」
匂いがしなかったのは俺の鼻が風邪でおかしかったんじゃない…。
味がないから匂いがなかったんだ!!!
華純「へっ…、うそ!?」
彼女はお粥をひと匙口に運び…、
華純「ほんとだ…。味がしない…。」
みるみるしょぼんとなってしまった。
華純「ごめんなさい…。」
いつもは強気な彼女がこんなに落ち込むなんて…。
弘宣「か、貸してください!」
俺は彼女からスプーンを奪うと、お粥を口にかき込んだ。
華純「えっ…!?ちょっと!!」
咀嚼して飲み込み、そして落ち込む彼女を見つめ…、
弘宣「俺、このお粥好きです。」
華純「へっ…?」
弘宣「正直、味はしないけど…。でも、あなたが一生懸命に作ってくれたんだって、とても伝わったから。」
お嬢様で、普段は料理なんかしなくてもシェフが料理を作ってくれるような人が、俺なんかのために作ってくれたんだ。
慣れないことなのに、頑張ってくれたんだよなぁ…。
華純「…ほんと?」
弘宣「本当です。」
そう笑顔で答えると…、彼女はポロポロと泣き出した。
弘宣「えっ!? ど、どうしたんですか!?」
訳がわからずオロオロしていると…、
華純「私、あなたの役に立てたのね、嬉しい。」
ああ、なんて純粋で綺麗な涙なんだろう…。
心の奥がブワッと温かくなるのを感じた。
華純「よし!じゃあ明日も作りにくるね!!」
弘宣「そっ、それは遠慮しときます(苦笑)」
華純「なんでよ!!(笑)」
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