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華純「ちょっと停めて!」
私の突然の要求に、車は急ブレーキ気味に停まった。
…子供は2人。
男の子と女の子。たぶん兄妹だろう。
なにやら女の子が大泣きしているのを、男の子が必死に宥めている。
私は車から降りて、子供達に少し近づいた。
男の子「だから、10円足りないんだって!」
女の子「でもジュースが飲みたいの!!」
男の子「だから、お金が足りないから買えないの!」
女の子「でも飲みたいんだもん!!」
ああ、そういうこと。
10円足りないのね。
しょうがない、10円くらい私が…、
いや、なんならジュースくらい2人に奢ってあげるか。
私は財布をとりに車に戻った。
華純「松田さん、お財布貸して。」
松田「へっ…?」
華純「小銭が必要なの。」
松田「…あ、はい、わかりました。」
財布を受け取って振り返ると…、1人の男が子供に近づいていくのが見えた。
よれた服を着て、髪もボサボサ…。
華純「えっ…、不審者!?」
少し警戒しながら彼らに近づいていると…、
その男は自分の財布から10円を取り出した。
男「これ、落ちてたよ。」
そう言って、自分の10円を子供に手渡した。
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