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弘宣「はぁ…。今日はもう客は来ないかな。」
午後3時ーー。
俺は自分の経営する喫茶店の椅子に腰掛け、ため息をついた。
普通の喫茶店なら、昼時を過ぎても休憩で客が来る。
でも、うちの店は普通ではない。
寂れたシャッターだらけの商店街の中にある、オンボロ喫茶店だからだ。
来てくれるお客さんといえば、みんな顔見知り。
商店街の店主たちが昼ごはんを食べに来るくらいだ。
弘宣「今日はもう店じまいにしようかな…。」
うん、そうしよう。
ゆっくり風呂に入って、テレビでも見て、早く寝てしまおう。
表の看板を「close」にしようと椅子から立ち上がった直後、店の扉に付けていた鈴が鳴った。
弘宣「いらっしゃいませ…」
俺は驚き過ぎて固まってしまった。
お客として現れた女性が、ものすごく綺麗な方だったから。
もしかして、芸能人とか…?
いや、芸能人がわざわざこんな寂れた商店街の中の汚い喫茶店に来るはずがない。
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