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日付が変わり、空が青く輝き始めた早朝。
父島沖80kmの海上を、アメリカ海軍横須賀基地へ向けて航行していた空母・ジェラルド・R・フォードに、緊急事態を知らせる報が届いたのは、5分程前の事だった。
「緊急発進が出来る戦闘機隊は、どのチームだ?」
この緊急事態を知らせる報を、現在航行中の空母・ジェラルド・R・フォード発令したのは、彼らがこれから寄港する予定のアメリカ海軍・横須賀基地であって、その報を見るなり艦載機に緊急発進命を下した艦長は、どの戦闘機隊が発進する予定なのかを、素早く部下に確認した。
「艦長。現在発進待機中の航空隊は、オリビエ・ピヨン少佐のブレイブソルジャーズです」
艦長は待機中の戦闘機隊を迅速に報告した部下の肩を一度叩き、ぼそっと呟くように決断を下した。
「ピョンのチームか。よし、彼女のチームに出撃命令を出せ。任務の詳細は、チーム全機が発艦後に伝えると指示しろ」
艦長の決断を受けて、空母内には緊急事態と緊急発進命令を知らせるサイレンが鳴り響き、クルーの手によって素早く格納庫から搬出されたF/A-18・スーパーホーネット戦闘機が、戦闘機運搬用のエレベーターに乗って飛行甲板へと押し上げられた。
こうして飛行甲板に姿を表したF/A-18戦闘機は、ゆっくりと艦首に向かって移動を始め、やがて機体をカタパルトに接続されると、カタパルトから打ち出されるその時を静かに待っている。
機体の下から合図を送る誘導員からの手信号を受け取り、ピヨンがトラブル無くカタパルトに接続出来た事を管制塔に報告すると、間もなく彼女の機体はカタパルトから射出され、大空へと羽ばたいて行った。
このブレイブソルジャー隊の隊長を務めるピヨン中佐は、米海軍でもかなり珍しい、女性が指揮官を務める戦闘機隊だ。
だが戦闘機に乗っていない時の彼女は、まるで天真爛漫な少女のように艦内を走り回っている姿をよく目撃されている事もあり、ぴょんぴょんと兎のように走り回るその姿と、ピヨンと言う彼女の名を掛け合わせて、彼女にはいつしかピョンと言うニックネームが付けられ、仲間から親しまれている。
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