緊急発進命令

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そんなピョンたちが空母から飛び立った後、彼女達が受けた司令はかなり特殊なものだった。 空母からの連絡によると、ロサンゼルスから羽田に向かっていたデルタ航空の旅客機が、小笠原諸島から700km東の海上で国籍不明機によるインターセプトを受け、非常事態に陥っていると言う連絡を受けたのだそうだ。 しかしこの旅客機の機長は、元々アメリカ海軍の出身だったようで、現役時代はF-14戦闘機のパイロットだった事もあり、この非常事態を受けても冷静に国籍不明機に対処している様子で、機長からの情報提供によると、このデルタ航空機は現在国籍不明のMIG-29戦闘機に周囲を包囲されており、この戦闘機群からの要求は、進路を西に向けて飛行を続けろと言うものだった。 この旅客機から発せられた非常事態宣言を受けて、アメリカ国防総省は、翌月に行われるインド洋での軍事演習に参加するために米海軍横須賀基地に寄港し、必要な物資の補給を行おうとしていたジェラルド・R・フォード級航空母艦に対し、当該旅客機の奪還と、安全な空域へのエスコートを目的とした緊急命令を発令し、命令を受けたジェラルド・R・フォードは、直ちにピヨンの部隊を旅客機のもとへ差し向けたと言うのが今回の緊急発進命令の概要である。 と言う報告を受けたピヨンは、早速空母から受け取った旅客機の位置情報を確認すると、自分のチームの進路をデルタ航空機が飛行するルートと重なるように進路変更すると、当該旅客機を救出するために戦闘機を走らせた。 「敵のレーダーを避ける。ブレイブソルジャーズは全機超低空飛行へと以降せよ」 空母からの作戦概要を確認したピヨンの、如何にも軍人らしいどすの効いた低い声が、無線を通じて彼女の指揮する全てのパイロット達へと伝達される。 すると、彼女の指示に呼応するように、ブレイブソルジャーズ隊の戦闘機はぐんぐん高度を落としていき、やがて海面すれすれの高さを、超音速一歩手前の速さを維持して駆け抜けて行った。
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