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「なるほど...で?マリアに会いに来た目的は?」
「話せば長くなりますが...?」
「なるべく簡潔にお願い出来ますか?」
「はい...実は...」
私は、クロウの事を省いて、矛盾がないように簡潔に話した...魔族の巣窟である島へ行くいい方法が無いかを尋ねに来た...と。
「最果ての島に?」
「はい...」
「ふむ...」
ラーグは、顎を撫でながら考える。
「行っても帰って来れる保証が無いのに、それでも行く...か」
「はい」
「分かりました!マリアの居る場所へ案内します」
「ありがとうございます!」
ラーグは、「こっちへ!」と手招きして私たちを誘導する。
案内された場所は、応接間のようなところで、中に入ると女性らしき人物が、此方に背中を向けて座っている。
「あら?ジーナにラミア…何故こちらに?」
詰所に入ってすぐ、気配に気付いた女性が私とラミアちゃんの名を呼ぶ。やはり姉さんの後ろ姿だったようだ。
「まぁ話すと長くなるんだけど…」
姉さんに今までの経緯を簡潔に話す。
「なるほどねぇ…最果ての島に行く方法ねぇ…」
顎を指でトントンと叩きながらつぶやく。
「私は無謀だとおもいますよ?あんな魔族の巣窟の島…」
ラーグは腕を組み、否定的な言葉を吐いた…まぁ確かにそうだが…。
「ま、行けなくはないんじゃない?私の可愛い妹がどうしても行きたいと言っているって、国王だか王子にだが進言すれば…」
「そうなの?」
「うん…王子だとその代わり私の妻になれ!って言いそうだけど…」
「そう言われたら?」
「嫌々でも妻になってあげますわ!」
「私の為にそこまでは…」
「さすがにこれは最終手段ですわ!」
「はは……」
私は苦笑いしながら肩を落とす。
「王子に国王に謁見したいと言えば、とりあえず時間を作って個別に謁見できると思いますわ!」
「本当!?出来れば早めに…」
「分かりましたわ!ジーナ達とは一緒に行けませんが、これくらいの力添えはしないと…ね?」
姉さんは、ね?で可愛らしくウインクした。同性の私がドキッとする位、姉さんのウインクは可愛らしかった。
「ありがとう…」
「うん!ラーグ?」
「はい…王子に伝える手筈を…」
「お願いね?」
「はい……」
そう言ってラーグは、踵を返して部屋から出て行った。
「さて…返事があるまで時間があります…大したもてなしは出来ないかもしれませんが、ゆっくりして行ってくださいな」
大したとは言っているが、仮にも王宮内の応接間だ…大した事無いわけが無い。
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