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効いてる!!
「魔波双乱脚!」
ダメ押しで、ジャバウォックの背後から、蹴りの乱舞をお見舞いした。
「グォォォ……」
効いてはいる……けど、何かおかしい……何がおかしいかは分からない。
『ジーナ!まずい!』
急に、クロウの声が頭に響く。
『何がまずいの?』
『お前の違和感は本物だ!奴は魔力暴走を使おうとしてる!!』
『それはまずい!』
私は、少し後ろに下がって大きく息を吸う。
「みんな!下がって!」
私の悲鳴に似た叫びで、四人は散開して離れる。
『クロウ!少しだけ力貸しなさい!』
『命令!?てか、何する気だ!』
『良いから貸して!』
『あー!!わかった!』
ゆっくりと、クロウの力が私の体を巡る。
「グォォォ!!」
ジャバウォックの叫び声と同時に、魔気を体に纏って突っ込んだ。
「天限魔波龍神癖!」
体に巡らせていた魔気を、一気に前へ放出し、魔気の壁を作った。
「ドゴオッ!!」
ジャバウォックの、魔力暴走を防ぐ音と、周りの地面を巻き込む爆発音が辺りに響き渡る。
「ジーナ!!」
姉さんの叫びが聞こえたが、お構い無しに魔気を放出する。
「ぐ……ぅ……」
体が千切れそうだ……でもっ!!
「ああああああああぁぁぁっ!!」
腹の底から声を出し、何とか爆発を防ぎ切った。
「ぐぅ……」
あまりの気だるさに、その場に座り込んだ。
「ジーナっ!!」
姉さんが駆け寄り、私の後ろから抱きついた。
「ジーナの馬鹿ぁ!!」
「姉さん……ごめん……」
「謝って済むもんですかぁ!私は……私はぁ……」
姉さんの嗚咽まじりの声が耳元でする。
「……」
泣きながらも、姉さんは回復魔法を掛け続ける。
「馬鹿……馬鹿ぁ……」
こうなったら、泣き止むまで回復魔法を掛け続けるだろう。
「姉さん……もう大丈夫よ」
私は、姉さんが後ろから回している手をどかし姉さんと向き合い、強く抱きしめる。
「ごめんね…私が悪かった!もうしないから…」
「ぐすっ……わ…わかった……」
背中を擦りながら、耳元で囁く。すると姉さんは、回復魔法を使うのをやめる。
「それに……まだ終わってない」
「え?」
驚いて、涙でぐちゃぐちゃになった顔をこちらに向ける。
「黒幕がいる……近くに」
「本当?」
「うん」
私は、姉さんと一緒に立ち上がる。
「居るのは分かってんのよ!出てきなさい!」
ジャバウォックが倒れている辺りに向かって叫ぶ。
「ちっ……」
ジャバウォックの脇から、小柄な二人組が現れた。
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